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ヒーロー
一真

主人公

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「大和の笑顔」 作・雪華


 吹き抜けになっているリビングの天窓から、穏やかな光が落ちてくる。オフホワイトを基調とした室内はいっそう明るい雰囲気になり、皇大和の心を軽くした。
 手に持ったティーカップの中で光が躍るのを眺め、大和は安堵感で薄く微笑む。
(我ながら良い設計だったな)
 今はとある理由で、暗闇を見つめがちだ。少しでも物理的に明るいほうがいい。
(だけどあんなに考えたのに、まだバリアフリーの面では改善点があるんだよなぁ)
 洗練された家のデザインは、そのほとんどが大和による設計だ。愛しい妻が少しでも苦労しないよう、優秀な頭脳を捻りに捻った。そのかいあって、戸建ての新居は専門家が「拝見したい」と言うほど快適だ。皇家が所有する敷地内に建っているせいで、父親がしょっちゅう孫の顔を見に来るという点を除けば、不満はない。
「お待たせ」
 十八畳ほどあるリビングを横切った大和は、両手に持っていたカップの内、一つをそっと差しだした。
 ソファーに座ってくつろいでいた大和の妻が、少し申し訳なさそうに苦笑して受け取る。
「ありがとう。でもお茶なら、もう自分で淹れられるよ」
「この間の診察では、病院の階段から落ちそうになってたのに?」
「あれは油断してたからで……」
「油断して三度目が起こったら、俺の心臓がもたないよ」
 今から二週間ほど前のことだ。ショッピング中だった彼女が、街中の階段で突き落とされた。幸いにも足の捻挫と擦り傷だけで済んだが、頭から落ちていたらもっと一大事になっていただろう。
 彼女を失っていたかもしれないと考えると、大和はいつも息が止まりそうになる。息苦しさを誤魔化すように膝をつき、彼女の片脚をそっと持ちあげた。
「わっ。……まだ診るの?」
「ああ。何度でも」
 まずは注意深く表面を観察する。次に関節の動きを確認し終わったら、うっすらと残る傷痕を優しくなぞった。
 彼女がくすぐったそうに身じろぐ。
「大和は心配しすぎだよ」
「うざったいだろうけど、心配で死にそうになった俺の心が回復してないから、もう少し付きあって」
「まるで私の世話をすることが薬みたいな言い方だね」
「『まるで』じゃなくて、そうなの。仕方ないことだけど、子供が生まれてからは、あんまり二人の時間がとれなかっただろ? だから今、こうして付っきりで世話できてることが嬉しいんだ。……不謹慎で、ごめん」
 しゅんと項垂れた大和の上に、犬耳の幻でも見えたのだろうか。彼女が慰めるような手つきで頭を撫でる。
 結婚して十年近くが経ったが、こういうところは昔の『教師と生徒』という関係性を引きずっているのかもしれない。気がつかない内に、大和は彼女に甘えてしまっているのだ。
 今は家政婦に預けられている息子も、二人の少し特殊な関係性を察しているようで、イチャついている時は大体気を遣ってひとり遊びをしてくれている。
「呆れた?」
「ううん。でもお義父様には迷惑かけちゃってるんじゃないかな……」
「いやいや。親父も『近頃は働きすぎだったから、しばらくは休暇を楽しめ』って言ってくれてたじゃん」
「それでもやっぱり、こうして大和の時間を奪ってばかりなのは、気が引けるというか……」
「今日はやけに食い下がるね。俺にべったりされて窮屈?」
「そんなわけない。私も、大和とずっと一緒にいられて嬉しい。だけど、私よりも大和の救いの手を必要としている患者さんがいるでしょう?」
「俺が一番に救いたいのは、可愛い奥さんだよ。それに今は、光が手配してくれた人が入ってるから平気」
「あの世界的に有名って人?」
「そう」
「よく穴埋めで入ってくれたね」
「光いわく『この世で金で買えないものは、愛しい妻の心だけ』らしいぜ」
 もうだいぶ昔のことになるが、皇家には西条家から嫁いできた女性がいた。そしてその縁は切れることなく、むしろ西条光の治療を行ってからは、さらに強固なものとなった。大和が窮地に立たされれば、言うまでもなく何かと助けてくれる。
 もっとも今回は、ただの怪我では終わらせられない要因があったから、いっそう手厚い支援が受けられたのだが……彼女がそれを知る日は来ないだろう。知っていたら、苦笑どころでは済まなかったはずだ。
「たかが捻挫に、いくらかけるつもりなの? もうこんなに元気なのに」
 そう言って立ちあがろうとする彼女の手首を、大和がすかさず掴む。彼女がなおも遠慮しようとすると、ポケットから取り出したもので、素早く手首とソファーの手すり部分を繋いだ。
 呆気にとられた彼女が手をあげようとすると、じゃらりとした金属音が鳴って――銀色の手錠が光を反射する。
「ちょっ……、嘘でしょう? まさかこれ、手錠?」
「はは、一応玩具なんだけど、よく出来てるよな」
「もう。いくらなんでもやりすぎよ、大和。外してくれないと――」
 彼女が抗議している間に、ぐいっと顔を寄せる。ほとんど吐息のような声で問いかけた。
「くれないと、嫌いになっちゃう?」
 甘い誘惑の声に、彼女の頬がふわりと染まる。視線を逸らしながら、拗ねたような口調で言った。
「……外してくれないと、ほっぺたつねっちゃう」
「それは恐いな」
「嘘つき」
「ほんと。だからこうして手を繋いで、抓れないようにしておく……」
 両手を深く握りあわせながら、唇を重ねる。段々とキスが深くなるに従って、彼女の手首を縛める鎖がジャラジャラと音を立てるのが、少し背徳的でそそられた。
「ん、……ふ」
 あっという間に火がついた体をすり寄せれば、彼女が鼻にかかった甘い声を漏らす。
 もっとその声を聞きたくて、唾液をすり込むようにして舌を擦りあわせた。
「は……、先生……」
 生々しい音と熱が、体の芯にまで響いてくる。煮立ち始めた頭の中で過去と今がぐちゃぐちゃになって、かつてのように愛しい人を呼んだ。
「っ、先生……、好きだよ、先生。もう二度と、怪我なんてさせない」
 怪我が治るまでは……と抑えこんでいた欲望が、一気に溢れてくる。もはや隠しようがないほど硬くなったものを彼女の体に押しつければ、ぞくぞくと背筋が痺れた。
 彼女もまた大和の欲情に煽られたように呼吸を荒くしていく。
「ん、大和……」
「駄目だよ。そんな可愛い声出されたら、我慢できなくなる」
 止めて欲しいと思いつつ、大和の腰は揺れっぱなしだ。彼女の中に猛ったものを埋めたいと全身が物語っている。
「はぁ、ごめん、ほんと……ただの冗談のつもりだったんだ」
 このままでは、手錠がただの玩具ではなくなる。そういうプレイのようになってしまう。
 顔を逸らした大和が、深呼吸で気持ちを落ちつかせようとしたら……、
「いいよ。このまま、抱いて」
「でも足が……」
 気遣いを口にしかけた大和の唇に、彼女の片手が添えられる。
「すっかり元気になってるって、本当は大和もわかってるんでしょう?」
「……」
 優しく窘める声に図星を突かれ、返す言葉をなくす。
 大和はしばらく彼女の瞳を見つめた後、逃げ場をなくした犬のように頭を垂れた。
 長い溜息が彼女の前髪を揺らす。
「ごめん。俺らしくなかったよな。わかってたけど……もう離れたくないって気持ちでいっぱいになっちゃってさ……。こんな形で閉じこめて……嫌な思い、させた」
 彼女は意気消沈といった様子の大和の頭を片手で撫で、ははっと笑った。
「嫌だと思ってたら、抱いてなんて言わない。私も本当は、ずっと寂しいと思ってたから……この機会を楽しんじゃった。ごめんね」
 ぺろりと小さく舌を出す彼女を、大和は泣きそうな気持ちで見つめた。いつだって最大限の愛情で自分を包んでくれる彼女が愛おしくて愛おしくて、感情が爆発して……不格好な笑みになる。
「どうしよう。俺の奥さんが可愛すぎて、入れる前にイキそう」
「それはもったいないから、早く入れたほうがいいんじゃないかな」
「ははっ。そうする」
 笑いつつも気が急く。それでも大和はなんとか自制心を繋ぎとめ、彼女の下着を丁寧に脱がせた。
 陽の光のもとで陰部を晒すからか、彼女の頬がさらに赤くなる。
 可愛いと耳元で囁き、そっと陰部を開いていった。
 ぬるりとした感触を指先におぼえ、本心から驚いた声が出る。
「あれ……もう濡れてる?」
「意地悪言わないで」
「あ、いや、意地悪じゃなくて、純粋に……」
「純粋に、いやらしい女だと思った? だってしょうがないじゃない。大和が我慢してる間、私だって、その……エッチな気分、我慢してたんだから」
 拗ねたような告白が最高に可愛いくてニヤニヤが止まらない。大和は彼女の潤んだ膣口を二本の指で愛撫しながら、自身のズボンのチャックを下ろした。片手で充血しきったペニスを取りだし、息を荒げながら上下にしごく。
「はぁ、先生のせいでこれ……もう先走りでヌルヌルしちゃってるよ。久しぶりなのに手加減できなさそう」
 張りつめた先端を濡れた陰唇にこすりつける。
 入り口がひくついて招くような動きをすると、彼女が少し恥ずかしそうな――けれど恐らくは、精一杯の挑発的な笑みを浮かべた。
「私も加減できないから、丁度いいね。たぶん全力で飲みこんじゃうよ」
「くく、根本まで?」
「う、うん……一気に」
「へぇ。それは貪欲だ、なっ」
 溢れてきた愛液を先端にまとわせ、ぐっと腰を進める。一応の気遣いで根本までは入れずに、中ほどまでを埋めた状態で出し入れを繰り返した。すると膣内がきゅうっと狭まり、もっと奥へと誘われる。
 愛液の量も一気に増して、ぬちりと淫靡な音を立てた。
「っ、やっぱり、いじわ……るっ」
「はぁー……違うって。全身全霊で優しくしようとしてたんだけど、こんなエッチに誘われたら……腰、止まんなくなっちゃうじゃん!」
 彼女の両脚を抱えあげ、ずん、と最奥まで突き入れる。
 隘路の収縮はますます激しくなり、ペニス全体を舐られているようだった。
「っ、はぁ、あぁ……まじで、速攻で出そー……。はぁ、今日の俺のチンコ、はぁ、ダメダメだ」
 二度、三度と貫きながら角度を調整し、彼女のことも絶頂へと導く。
 ボルチオを擦りあげるようにして腰を叩きつければ、柔らかな内腿がビクビクと痙攣し始めた。
「あっ、んんっ! わたし、も……! わたしも、今日はぁ……っ、だめ、なのっ」
「どう、ダメなの?」
「んっ、気持ちよすぎて、すぐ……イッちゃう!」
「ふふ、あー……ほんとだ。奥のほうが、ギュッて、チンコ絞ってる。ね、俺の精子、奥にほしい? ほしいって言ってよ、先生」
 言葉を引きだすように、一番感じるところを執拗にこする。
 やがて揺さぶられていた彼女の全身がビクンと跳ね、どっと愛液が溢れた。
「ああっ! あっ、ほし……い! ほしい! 大和の……奥に、ちょう、だいっ」
「ん、あげるよ。はぁ、はぁ、先生がまた孕んじゃうくらい、いーっぱい、中出ししてあげる、からっ」
 いきっぱなしのようになっている膣を、太い竿の部分で激しく擦る。ぎゅうぎゅうと締めつけられる心地よさで息がつまり、下腹がこわばった。限界まで充血したペニスが、隘路の中でビクンと跳ねる。
「ぁっ! あっ、はぁ、はっ……ぁ! でる……! 出、るっ!」
 大和自身も驚くくらい、びゅる、と勢いよく精子が溢れた感覚があった。気持ちよすぎて目の前がチカチカした。
「っ、く……、はぁ、はぁ、はー……、好き……愛してる」
 ここではないどこかに行ってしまいそうで、彼女の体をきつく抱きしめる。数分はそうして、じっとしていた。
 やがて窓の外から爽やかな鳥の声が聞こえてきて、妙に気恥ずかしくなった。
「はは……、ごめん。マジで早かった」
「ふふ、それを言ったら、私だって……」
 幸せそうにまどろんでいた彼女が、ふぁ、と大あくびをする。
 大和は恥ずかしそうにした彼女の頭を撫で、優しく夢の世界へと導いた。
「手錠はちゃんと外しておくから、眠っていいよ」
「ん……、ごめん……」
「謝る必要ないって。家事は全部家政婦さんがやっておいてくれたから、もうやることないし」
「でも……」
「でも、は受けつけません。足が治ったとはいえ、まだ本調子じゃないのは、ほんとだろ?」
「うー……」
「ほら、眠って」
「ふぁ……、起きたら……」
「起きたら?」
「手錠の仕返しはするから……ね……」
「はいはい」
「あと……」
「ん?」
「愛してる……」
「……うん、俺も」
 何度目かの軽いキスで、彼女が眠りに落ちる。
 宣言通り手錠を外したが、本心では自分の目の届くところに、ずっと繋いでおきたかった。
(あぁ……十年経っても、好きすぎてヤバい)
 昔が嘘のような、幸せな時間だった。この空間を誰にも壊されたくない。
 ――そう思いながら寝顔を見守っていたら、不意にローテーブルの上にある携帯が震えた。
「!」
 震動音で彼女を起こしてしまう前に、慌てて携帯を掴みとる。それから静かに立ちあがり、忍び足でリビングを出た。
(結果が出たのか……)
 そっと扉を閉めてから、画面に映しだされた名前を再確認する。通話ボタンを押す際、嫌な息苦しさをおぼえた。
「はい」
 小声での応答に何かを察したのか、電話をかけてきた者――西条光も、少し潜めた声で話し始めた。
「今、一人か」
「ああ」
「頼まれていた調査の結果が出た。お前の推測通りだったが、表で裁くのは難しいぞ」
「そこも想定済みだ。あのババアのことだから、切り捨てられる駒しか使わないだろ」

 彼女には言えないことだが……事件があった日から、大和は秘密裏に調査をしていた。裏にも手が回せる西条家の力を借りて、血眼になって犯人探しをしていたのだ。
 しかし実のところ、真犯人の目星は最初からついていた。ただ、法で裁けるような証拠は残さないだろうと踏んでいたから、警察につきだすつもりはなかった。要は、大和自身が確信を得るための情報集めだ。今まさに、その結果が出た。
 ――大和の義理の母が、人を雇って彼女を突き落とさせたという、許し難い事実が。

「あの女は、俺がクズの間は、自分が産んだ子供を跡取りに据えられると思ってた。だから俺が更生するきっかけになった彼女が、許せないんだ。しかも彼女が孫を産んだことで、さらにその機会は遠のいた。自分の不妊症の治療も上手くいっていないから、溜まっていた鬱憤が爆発したんだろうな。完全に八つ当たりだけど」
「それで、決行はいつだ?」
「いつって?」
「死体の処理は難しいからな。協力者が必要だろう」
「お前、さらっとすげぇこと言うな」
「なにかおかしなことを言ったか。よもや妻が殺されかけたのに、黙っているということはないだろう?」
「とりあえず死人はでないから大丈夫だ」
「そうか……。お前は優しいな」
「光。お前っていいヤツだけど、やっぱり西条家の男だな」
「? よくわからないが、俺の力が必要になったら、また電話してくれ」
「ありがとう。この礼は必ずする」
「では次のチェスでは、俺の妻の前で負けてくれ。彼女にわからないように、自然にな」
「お前相手に手加減するなんて至難の技だぞ」
「だろうな。期待している」

 電話が切れ、大和は廊下の壁に背を預ける。片手で目を覆えば、重力を感じさせるような長い溜息が漏れた。
「……俺は優しくなんかねぇよ、光。殺したら、それ以上苦しめられないだろ」
 手をおろし、ゆらりと歩きだす。リビングへの扉を開ける前、一回だけ深呼吸をして、笑顔を思い出した。
 ゆっくりと扉を開けば、健やかに眠っている愛しい妻の顔が――。

「あれ……?」
 さっきまでソファーで眠っていたはずの姿が消えている。
 冷静に考えればトイレかキッチンかもしれないと思えたが、この時の大和は平静を保っているようで……だいぶキレていた。腸が千切れそうなくらい煮えくりかえっていたのだ。だから、ちょっとした予想外の展開にうろたえ、全身から冷や汗を流した。
「っ、どこに――」
「大和?」
 走りだした足が、二歩ほど進んだところで急停止する。
 見ればキッチンへと続く扉のほうから、彼女が歩いてくるところだった。
「なんだか顔が青いけど……、大丈夫?」
「は……、はは。大丈夫。大丈夫。ちょっと……びっくりしただけ」
「びっくりって?」
「えっと、なんていうか……」
 混乱した頭に手を当て、不格好な笑みを張りつけた状態で歩み寄る。彼女の前まで辿りつくと、ぐっと唇を噛み、泣かないように眉間に力を入れた。
「俺、結婚してからは毎日が幸せだった。幸せすぎだ……。だから、今こうして一緒にいられるのは夢なんじゃないかって、不安になる」
 大和としてはかなり真剣に言ったつもりだったのだが、彼女はキョトンとして顔を傾ける。それから小さく笑い、大和の頬に手を伸ばした。
「うーん、じゃあ……」
 ぎゅむ、と頬をつままれ、今度は大和がキョトンとする。
 彼女はそれが面白かったのか、クスクスと笑いながら言った。
「今日の仕返し、兼、現実確認。……夢じゃないって、認識できた?」
「うん、できた」
「仕返しもできた?」
「はは、うん。めっちゃ仕返しされた。やっぱ、ちゃんと報いは受けるべきだよな」

 不幸な偶然が重なるもので……その翌朝、大和の義母が階段から落ちて両手両足を骨折した。
 よほど痛みが酷いのか、大和たちが見舞いに行くと、義母は真っ青になって震えるばかりだった。焦点の定まらない瞳は、誰かに拷問された後のようで、見舞客の哀れを誘う。
 大和は義母を気遣ったのか、ずっと満面の笑みだった。


<了>



500DL記念SS





「その一本さえも愛おしい」 作・雪華


 当然だが時間は有限だ。過去に不良と呼ばれ、無為に時間を浪費した経験がある皇大和は、普通の人間よりもちょっとばかり、それを強く意識している。
 だから調理をしている間も、大概はなんらかのオーディオブックを四倍速で聞いている。よって得られる知識の量も、同年代に比べて数倍だ。
 大学の友人たちは「聖徳太子か」とつっこんできたが、さすがに一度に十の内容は聞けない。大和にできるのは、せいぜい何かの医学書を読みながらオーディオブックで情報を吸収し、一瞬の合間に愛しい妻とのエロい妄想をするくらいだ。

 今夜もまた、妻の媚態のイメージをスパイスに、調理が捗っていた。
「んー、大体こんなところかな」
 煮えたスープの中に、おたまを入れる。とろみのついた表面がくぷりと音を立てれば、なんてことない音のはずなのに、また妄想が広がった。
「先生の中も、トロトロで熱いんだよなぁ。あー、早く突っこんでかき回してぇ」
 ゆっくりとおたまを回しながら、彼女の中にペニスを入れた時を想像してしまう。
 我ながら変態っぽいと大和は思ったが、すぐに「だって若いし」と開き直った。

 言い訳のようだが、実際、大和は若い。まだ大学生で、エネルギーが有り余っているお年頃。
 対して彼の妻は、数年前から山那学園で養護教諭として働いている。
 そんな歳の差カップルの二人だから、大和はいっそう焦ってしまうのかもしれない。
 ――早く、青二才と舐められない歳になりたい。そして彼女に寄ってくる大人の男たちを、余裕の態度で追い払えるようになりたい。

「これが一番、難題なんだけどさ……」
 ぼそりと呟く声がキッチンに響く。
 悔しいことに知識は身につけられても、精神はそう簡単に歳をとれない。
 世界一可愛い――と大和は思っている――妻が今この瞬間も誘惑されているんじゃないかと、気が気でならなかった。大人の余裕なんか持てない。
「ま、浮気なんて絶対させないけど」
 そのためにも、胃袋をがっちりと掴んでおく必要がある。というわけで、最近の大和は料理にこっている。今日も倍速で大学のレポートを終わらせ、手のこんだフルコースを用意していた。これで、疲れて帰ってきた彼女を癒す予定だ。
 彼女との時間を捻出したくて必死で頑張ったから、大和も結構疲れていたが、気分はムラムラ……いやルンルンと盛りあがっている。
 いつ色っぽい雰囲気になってもいいように、風呂の準備も万端だ。
 一緒に風呂に入るところを想像したら、また股間が熱をもってきて、大和は自嘲の笑みを浮かべた。
「早すぎだろ、俺」
 結婚式にきた山那誠のアドバイス通り、欠片も興味のないことを想像して瞑想する。
不謹慎なタイミングで勃起したアレをしずめるための儀式だ。
 山那直伝の仏像顔になってきたところで、玄関扉が開く音がした。
「! よっしゃ」
 大和は主人の帰りを待っていた忠犬よろしく肩を跳ねさせると、急いで火を止め、玄関まで小走りで駆けていった。
「お帰りー!」
 彼女を目にした瞬間、愛おしさがこみあげて、勢いよく抱きついてしまった。
「きゃっ!」
 しばらくは大和もレポートで遅くなると思っていたからか、彼女は驚いた様子だった。丸くなっていた目が、落ちつかない様子で左右に泳ぐ。
「は、早かったね。今夜は友だちとレポートやるから遅くなるっていってなかったっけ」
「あんなの、俺にかかれば小学生の日記みたいなもんだよ」
「はぁ、そうだったね」
 思わず漏れたといった感じの溜息に、大和は眉をひそめる。
 まるで、大和の帰宅を喜んでいないみたいだ。
「俺が早く帰ってきてたら不味い理由でもあるのか?」
「な、ないよ」
「ほんとに?」
「うん……」
 若干怪しかったが、久しぶりの夫婦水入らずな時間を壊したくなかった。大和は幻の尻尾をぶんぶんと振りながら、彼女の目を覗きこんで問いかける。
「じゃ、ご飯にする? 風呂にする? それとも……俺?」
「大和、若いのにネタが古いね」
「別にいいだろ。一度はやってみたかったんだよ。で、どれにする?」
「お風呂」
「不正解です」
「え、これクイズだったの?」
「正解はー……俺」
 彼女が疲れているのはわかっていたから、もちろん冗談だった。
 それなのに彼女は、常にはない様子で嫌がって、大和の体を押し返してきた。
「だめ!」
「っ?」
 最初に感じた違和感が強くなり、大和の中で焦りが生じる。
 つい、追いつめるように壁に押しつけてしまった。
「なんでそんなに嫌がるんだよ。どこか他で、マーキングでもされたのか?」
「されるわけないでしょう。私のこと信じてないの?」
「先生のことは信じてる。でも先生は可愛いし、エッチな体してるから、男のほうから無理矢理迫ったのかもしんねぇだろ」
 言っていると、本当にそんな気がしてきた。なにせかつては、大和自身がそうやって彼女を犯して手に入れたのだから。後に元から相愛だったとわかったとはいえ、やり方は酷かったと思う。
「新入生で、前の俺みたいなヤツが入ってきたとか?」
「だから、そんなんじゃないって」
「じゃあ証明してみせてくれよ。先生……」
 耳元で囁いた唇を、そのまま首筋に滑らせる。軽く肌を吸いあげると、少し塩辛い味がした。
「ホテルには行ってないみたいだな」
 ほっとして呟けば、目前の首がほの赤く染まっていく。
「汚いから舐めないで。お風呂入ってからにしたい」
「汚くなんかない。いい味だよ」
 ぺろりと舐めると、白い肌がもっと赤くなる。
「味とか言わないでよ。大和のばか」
「あ、今の『ばか』って、もう一回言って。可愛い……」
 言ってくれと乞いながら、彼女の唇をキスで塞ぐ。抗議する舌を絡めとり、くちゅくちゅと音を立ててこね回す間、手早くブラウスの前を開いた。
「んっ、ふ……ぁ……」
 彼女の艶めいた声を聞いたら、冗談でおさめようという気が消えうせた。完全にスイッチが入って、彼女の股の間に脚を割りこませる。
 ぐっと上げた腿で彼女の陰部を圧迫すると、柔らかな肢体がびくんと跳ねた。
 キスの激しさと、陰部を押しあげる動きを連動させる。
 次第に強張っていた体から力が抜けていって、大和の動きに合わせるように彼女の腰が揺れた。
 少し唇を離せば、とろんとした彼女の顔が見えた。
 それを目にしたら……もう、どうにも抑えられなくなった。
 素早くスカートを引きずりおろし、下も舐めようとしたら――
「あっ! だめー!」
「うわっ」
 しゃがんでいる途中で強く押され、尻餅をつく。
 ここまで抵抗されたのは、あの初めての時以来だった。
 数秒間呆然とした大和は、しかしすぐに眉を顰めた。
「風呂に入らないまま抱かれるのなんて、初めてじゃないじゃん」
 床の上であぐらをかき、足の裏同士をつけたポーズで拗ねた目を向ける。
 彼女は言葉に詰まった様子で、息を止めていた。何かの我慢大会かと思うくらい長い時間だった。窒息するんじゃないかと心配になる。
 そろそろ呼吸したほうがいいんじゃないかと提案しようとした時、彼女がごく小さな声で言った。
「……ないの」
「ん?」
 あまりにも小さな声だったから、さすがの大和でも聞きそびれた。
 わざとではないのに、彼女はからかわれたと思ったのか、顔を真っ赤にして唇を噛んだ。
「ごめん、マジで聞こえなかった。もう一回言って?」
「っ、だから! 今日は、下の毛を剃ってないの! 大和はしばらくレポートで忙しいって言ってたから、油断してて……。今日帰ったら整えればいいかなって思ってたの!」
「下の毛……」
 なんのことかと復唱した大和は、時間差で理解する。
 ぽんと手を叩いてあからさまな物言いをした。
「ああ、マンコの毛を剃ってないってことか」
「マッ……!? う、うん……」
 ごにょごにょと言いながら俯く彼女を前に、大和は引くどころか、興奮した。自分の前では綺麗にしていたいと思ってくれている気持ちが、嬉しかったのだ。
 年上の彼女を可愛いと思うは、こういう瞬間だったりする。もっとも彼女は、まったくわかっていないようだが……。
 可愛い、愛でたいと思うと、口元のニヤつきが抑えられない。
「へぇ、剃ってないと、どのくらい生えてるの?」
「どのくらいって……最初にした時見たんだから、知ってるでしょう?」
「興奮しすぎてて憶えてねぇよ」
「言ったらやめてくれる?」
「ドン引きしたら、やめるかも」
 引くわけがないが、彼女から言葉を引きだすために意地悪な言い方をする。
 彼女は少し悲しそうにしながらも、俯きがちに答えた。
「……いっぱい」
「いっぱいの定義なんて、人それぞれだろ。パンツ脱いで見せてくれよ」
「それじゃあ結局見せることになっちゃうじゃない」
「先生が自分でパンツ下ろしてくれるなら、一瞬見るだけにする」
「……ほんと?」
「早くしてくれよ。俺がせっかちなの知ってるだろ。あんまり焦らされると、ケツの穴のほうまでまじまじと見るぞ」
「わ、わかったから待って!」
 わざと苛立った顔を作り、膝でにじり寄る。
 素直な彼女は大和の言葉を疑いもせず、慌てて下着を下ろした。ぎゅっと目をつむり、顔を真っ赤にしながらブルブル震えている。
 大和は当然のごとく、彼女の股間を凝視した。
「あー、たしかにいつもより、たくさん生えてる。割れ目が見えないくらいびっしりじゃん」
「っ、い、一瞬って言ったじゃない!」
「そうだっけ? ごめんごめん。俺、今限定で馬鹿になったから忘れてた。っつーか、先生の手入れされてない陰毛……すげぇ興奮する」
「な、なに言ってるの。そんなわけ――ひゃっ!?」
 むしろ彼女のほうがドン引きして油断している間に、大和は股間にむしゃぶりつく。逃げられないようにがっしりと両腿を掴み、陰毛でざらつく割れ目から陰唇にかけてを、激しく舐めまわした。
「あっ、いやっ! やだぁっ! ドン引きしたら、しないって……言った、のに!」
 しつこく逃げようとする彼女のクリトリスを、じゅっと音を立てて吸いあげる。びくんとした震動が伝わってきて、大和はいっそう興奮した。もっと顔を寄せれば、とろりとした愛液で舌先が濡れる。それをクリトリスに絡めながら、優しく中に指を入れた。微かに指を曲げ、ジースポットに狙いを定めて膣壁をなぞる。
 外と中の弱いところを同時にせめられ、彼女が泣くように喘いだ。
「ひっ、ぅあん! あっ、やだっ、いっしょに、やらないでっ」
「でもこうすると、気持ちいいだろ? あ、先生、ここにも毛がはえてたんだな」
 股を広げた部分にも、Tゾーンほどではないが、毛が生えている。
 愛液でびっしょりと濡れたそれは酷く淫猥で、大和のペニスが下着の中で跳ねた。早く解放してくれといわんばかりに硬く張りつめている。
「これ、いいな。次はもっと明るいところで見せてよ」
「んんっ! あっ……そこも、だめ! 見ないでぇ!」
 大和からしてみれば、陰毛ごときで恥ずかしがって悶えている様が、最高に可愛かった。興奮のままに舌と指の動きを速める。
「あっ! あぁっ、いく! いっちゃう! こんなの、いやぁ!」
 彼女がいきそうになっているのは、中の動きでもわかった。大和はクスリと笑い、膨れたクリトリスを強めに吸う。そうして、このまま絶頂に導こうと……思ったところで、いいことを考えついた。
「あ、そうだ。そんなに嫌ならさ、俺が剃ってやるよ」
「はあ、はぁ……、え?」
 いきそうだったところで、いきなり突飛なことを言われ、彼女は茫然としている。
 そんな隙をつき、大和は素早く彼女を横抱きにした。
「きゃっ!? な、なに?」
「だから、気にならないように剃ってやるって」
「意味がわからない」
「わかるだろ」
 ずんずんとバスルームに向かう間、抵抗する彼女をキスで封じこめる。
 着いてすぐに彼女の服を全部脱がせ、もがこうとする度に中のいいところを擦った。
 やがて、いけそうでいけない快楽地獄に、彼女が朦朧とする。
 大和はしめしめと舌なめずりをしながら、カミソリを手に取った。
 もちろん彼女のために買っておいたものだから、最高級の安全なカミソリだ。
「じゃ、剃るから、大人しくしててくれよな」
「んっ、や……」
 彼女の弱々しい抵抗を押さえ、丁寧に、優しく剃っていく。
 ほどなくして一本の毛もない、つるりとした股間になった。
「はは、ごめん。夢中になってたら、全部剃っちまった」
「え……」
 快楽漬けでぼんやりしていた彼女が、のろのろとした動きで己の股間を見る。そして数秒の無言の後、茹だったように顔を赤くした。
「こ、こんなの恥ずかしいじゃない!」
「俺以外に見せないんだからいいじゃん」
「そういう問題じゃ――、んぅっ!」
 文句を紡ぐ前に、舌を絡めとる。そうしながらカミソリを安全な場所に置き、代わりにコンドームを手に取った。いつでもどこでもできるように、家中に配置してあるのだ。
 激しいキスで彼女がとろけた顔をしている間に、手早くゴムを装着する。
「ん、だめ……やまと……」
「だから、その『だめ』は逆効果なんだって。……可愛くて突っこみたくなる」
 少し荒々しい仕草で彼女の体を反転させる。鏡に押しつける体勢で腰を掴み、痛いくらいに張りつめたものを一気に押しこんだ。
「ああぁっ!」
 散々に愛撫されてとろとろになった膣は、大和のものを難なく根本まで飲みこむ。それでいながら、きつく全体を絞りあげてきた。
 大和は全身をぶるりと震わせ、たまらない愉悦に唇を噛む。
「はぁ、っ……ヤバい。なんで先生の中、こんなにいいんだよ……。すぐにイッちゃうだろ。まったく、エロいマンコだな」
「あっ、あんっ、大和の……せいなのにっ」
「うん、そうだな。俺が先生のここ、何度もぐちゅぐちゅにかき回して……敏感にさせちゃったんだよな」
 いやらしく腰を回し、わざと大きめの音を立てる。
 浴室に淫猥な水音が響くと、彼女のうなじがまた一段と朱色に染まった。
 恥ずかしがる彼女を見ていると、大事にしたいのにイジメたくなる。
 大和は口角をあげ、繋がったまま彼女の片脚を大きく抱えあげた。
「ひゃっ!? 待って、大和。これ恐い……」
「ちゃんと支えてるから大丈夫だよ」
「でもこんな体勢……」
「恥ずかしい? あそこがツルツルだから、いつもより入れられてるところ、よく見えるもんな……」
 繋がっているところを見せるけるように腰を揺らし、濡れそぼった隘路をかき回す。
 鏡に映った秘部は、本当にいつも以上にいやらしく見えて、大和はごくりと唾を飲んだ。短い間隔で息を切らし、ずんずんと突きあげる動きを加える。
「あっ! ああんっ! ひんっ、あっ! こんなにされたら、も……うっ!」
「んっ、もうイキたい?」
 何度も限界まで焦らされていたせいか、彼女が素直にコクコクと頷く。
 とろけきった顔が最高に可愛い。
 大和は彼女の顎を優しく掴んで振り向かせ、下の動きに合わせて激しいキスをした。
 漏らしたように愛液が流れ、大和が腰を動かす度に、ずちゅんという音が浴室内に反響する。
「あっ、あああっ! だめっ、やまと! いく! ほんとに、いっちゃう、の!」
「っ、あぁ、先生……可愛い。今日も俺ので、いってくれるんだな」
 激しいキスの合間に、うっとりと囁く。始りが悲惨な形だったから、今でも彼女が達してくれると嬉しくてたまらない。
 膣内がギュっと搾りとる動きをして、大和の腰回りにも力が入った。
「俺も、い……くっ!」
 突きあげるスピードをあげ、最奥に硬い先端を叩きつける。
 やがて彼女が大きく背を反らして達すると、絶頂で狭くなった入り口を擦るようにして、大和も熱を解放した。
「っ、く……! 先生! せんせ……っ!」
 一度の解放では終わらず、何度も熱いものが迸る。
 くったりとした彼女を抱え、しばらくの間はゆさゆさと揺さぶっていた。
「あ……あぁ、やまと……もう……だめ……」
「ん、わかってる……、ごめん。でも、もう少しだけ……」
 緩やかなキスをしながら、長い射精を終える。
 ようやく引き抜くと、彼女が脱力して崩れ落ちそうになった。
 慌ててそれを支え、労うようなキスの雨を降らせる。
「……先生、怒った?」
「怒った」
 涙目で少し頬を膨らませる仕草も、また可愛い。
 ニヤついてからかいたくなる気持ちを抑えつつ、ゴムを外した。
「はは、今日も大量ー。これを注がれてたら、先生あっという間に妊娠してるな」
 白濁の液がたっぷりと入ったゴム。大和はそれを自分の眼前に掲げて揺らした。
 いつかまた、これを彼女の中に注ぎたい。
 ――そう思っていると、ぽつりとした声が聞こえた。
「……いいよ」
 耳にした瞬間は、何を許可されたのかわからなかった。
 まさしく我が耳を疑い、ゆっくりと聞きかえす。
「え、でも俺が医者になるまでは駄目だって……」
「大和は今の大学を卒業したら、数年間アメリカに留学しちゃうでしょ?」
「あ、ああ、うん……」
 大和は今在籍しているT大の医学部を卒業した後、アメリカでさらなる技術と知識を身につけてくる予定になっている。「そう簡単に跡を継げると思うな」という父親からの条件だ。
 あれから父親は大和に対して激甘になったものの、そういう面では相変らず厳しかった。
「大和がアメリカにいる間、一人で子育てしてるなんて……すごく寂しいなって思ってた。でもこの間、大和に『休職してついてきて』って言われて、色々考えたの」
 一度俯いた彼女が、強い決意を感じさせる瞳をあげる。
「一緒にいられるなら、大和に似た可愛い男の子……見てみたい」
「なんで男だってわかるの?」
 聞きかえすと、きりっとしていた彼女の表情が途端に崩れる。恥ずかしそうに視線をさまよわせ、小さな声で言った。
「女の人がイクと、男の子になる確率があがるんだって。前から知ってたんだけど、山那先生のところもそうだったらしくて。えっと、それで……ほら、最近の私、大和に抱かれると必ず……そう、なるから……」
 彼女の告白が、大和の情欲に再び火をつける。
 獣のごとく舌なめずりをして、彼女の耳元で囁いた。
「じゃあ確定だ。俺……いかせまくっちゃうから」

 ――それからしばらくして、山那誠に「ほらな」と肩を叩かれることになる。
<了>