Chapter 2光編
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【シナリオ抜粋】
「……この雨で全ての罪を流せたらいいのに」
決心をして一真さんの恋人になったのに、私を犯した光さんを罰することができなかった罪。
それ以前に、光さんの気持ちに気がつけなかった愚かさ。
その愚鈍さにより光さんを歪ませてしまったという事実。
全ての罪が鎖のごとく私に絡みついてくる。
堪えがたい重さで膝が震えた。
「はは、おかしな話だな」
すぐ近くにある双眸がふっと笑みの形になる。
恐らく嘲笑と呼ばれる類の表情。
反して私を見つめる瞳は、慈愛に満ちていた。
「おかしい?」
「ああ、だって君には、元から罪なんてないだろう。
全ての罪は、君を脅し、犯した、俺だけにある」
再びのキスは甘く、けれど私を苛んだ。
光さんは勝手で、傲慢で……悲しくなるほど優しい。
あんなに酷いことをしておきながら、全ての罪を一身に引き受けて、
私を罪悪感から遠ざけようとする。
ヒロイン(この道を決めたのは、貴方だけじゃないのに)
犯された時からの怒りが爆ぜて、重なってくる唇を噛んだ。
「っ、はは、噛まれたのは最初の頃以来だ」
「私はこんな形で支配されない」
「へぇ、面白い。君が俺に抗い続けると言うのなら、俺は君を征服し続けよう」
首裏に回された手に力が入る。
ぐっと引き寄せられ、切なげに震える吐息から逃げられなくなった。
「たとえこの命が尽きても、君を自由にはしない。
愛されなくても、ずっと傍にいる……」
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